これから転職先の企業を探すにあたり、生産技術は中小企業と大企業で何が違うのか気になりませんか?
私は中小企業と大企業どちらも経験してきたのですが、そこには互いにメリットもあればデメリットもありました。
そこで今回は今までの経験を元に、中小企業と大企業で生産技術として働いた場合、仕事にどのような違いがあるのかを比較してみました。
生産技術が中小企業と大企業で働いた時の仕事内容を比較
いきなり結論ですが、中小企業と大企業での違いを比較した結果がこちら。
中小企業 | 大企業 | |
仕事の範囲 | 広い | 狭い |
仕事の自由度 | 広い | 狭い |
仕事の難易度 | 普通 | 高い |
人間関係 | ネチネチ | サバサバ |
使える設備・道具 | 限られる | 豊富 |
始めに言っておきますがこの結果は個人的な見方によるものなので、世の中の全て企業が当てはまるわけではありません。
今まで中小企業と大企業の両方で働いた結果、このような印象を受けたものとして参考にしてみてください。
ただ、大きく外れているとも思えないので「こんな傾向があるんだな」くらいの感覚でとらえてもらえれば良いと思います。
生産技術の仕事範囲:中小企業は広く、大企業は狭い

まず仕事の範囲は中小企業は広く、大企業は狭いです。
中小企業の場合は純粋に人手が足りていないので、複数の業務を兼任していることが多いです。
設備・治具・型・荷姿の仕様検討・手配など幅広く、時にはメンテナンス関係の手伝いや不良品の選別などで呼ばれて対応することもあり、これもやるの?と言いたいような内容も多いです。
一人で何でもやりたいという思いが強い人は向いているかもしれませんね。
ただし、自分一人で1から全てを対応するわけではなく、仕様を決定したら外注することが多いので「浅く広く仕事ができる」という言葉が適切かもしれません。
逆に大企業の場合は業務内容によってキチンと部署が分かれており、個人の担当する仕事は狭くなりがちです。
設備・治具は部署A、型は部署B、荷姿は部署Cが担当するなど、分業になっていることが多く、自分一人でその製品に関する業務を広く担当する傾向にはありません。
どの製品も特定の工程や特定の作業を担当することになるので、担当する範囲については深く知見が持つ必要があり、プロフェッショナルであることが求められます。
一人で何でもやってみたいのであれば中小企業が向いていますし、特定の分野で頑張っていきたいのであれば大企業が向いていますね。
- 中小企業は一人で浅く広く仕事をする傾向がある
- 大企業は自分の担当範囲のプロフェッショナルであることが求められる
生産技術の仕事の自由度:中小企業は高く、大企業は低い

仕事の自由度では中小企業は高く、大企業は低い傾向があります。
先ほどの仕事の範囲と少し被りますが、中小企業の場合だと自分一人であれもこれも対応することになるので、方向性を決める時は自分に裁量権があります。
自分で考えた仕様の設備を使って自分で手配した型・治具を使用して生産することになるので、「これはこうしたい!」という意思を反映させやすいです。
会社の方向性には逆らえませんが、決定する物事に一定の裁量があるというのは仕事をするうえで自由さと責任を感じます。
逆に大企業の場合は自由度は低いです。
仕事範囲が狭いうえに標準書・基準書関係で仕様がガチガチに決められており、過剰とも思える安全への配慮によってできることは限られてきます。
また、何をするにしても書類の手続きを行い、関係部署の承諾を得る煩わしさが発生します。
ただ逆に言えば、それだけ守っていれば何かトラブルが起こった場合でも会社の決められたルールに基づいて行ったということもあり、思わぬ責任を抱えることはありません。
中小企業では自由度が高い仕事で自分の裁量権が広くなるメリットがある一方で、大企業では自由度が低いがルールに守られるというメリットも存在します。
- 中小企業では仕事で自分の意思を反映しやすい
- ルールが多くて自由さは低いが、守っていればトラブル時に助かる
生産技術の仕事の難易度:中小企業は普通だが、大企業は高い

仕事の難易度は中小企業は普通ですが、大企業は高いです。
中小企業の場合は自分が関わる仕事が多い分、仕様検討後の製作関係は外注メーカーに依頼する傾向が高いです。
そのため他分野の知識が必要になる反面、本来の専門となる担当分野も人並みの知識で済んでしまうという傾向があります。
一方で大企業の場合は担当分野については詳細な知識を必要とします。
部署が細かく分かれて分業されているからこそ、各担当がプロフェッショナルの必要があるので難易度は高いです。自部署で内作するような生産技術であれば、他社や既存品に負けないような技術が求められることもあります。
浅く広くの中小企業と深く狭くの大企業は一長一短のところがあるので、担当となる専門分野のことも知り尽くしており、関係する分野についても十分な深い知識があればどんな企業でも重宝される人材になれそうです。
- 中小企業では外注して対応することも多く、担当分野はそれなりの知識で十分な企業も
- 大企業では業務によって部署が分かれており、深い知見が求められる
生産技術の人間関係:中小企業はネチネチと大企業はサバサバ

仕事で気になるのが人間関係ですね。中小企業ではネチネチとしていますが、大企業はサバサバとしています。
中小企業の場合、特に社内の人間関係に対しては部署を超えたやり取りも同じ相手になることが多いので、良くも悪くも密になる傾向があります。
互いのことをある程度理解しているので、仕事を進める上で無駄な説明をする必要がなく楽かもしれませんが、あまり良く思わない相手だとどちらかが異動しない限りは苦労することが多くなります。
大企業の場合、他部署の人間もたくさんいますので製品ごとに毎回知らない相手になることも珍しくなく、サバサバとしていることが多いです。
中途入社する人間にとってはやりやすいですね。
すでに関係が出来上がっている中に入るというのは少し抵抗を感じるので、深すぎない人間関係というのは溶け込みやすいです。さらに大企業の場合は定期的に上司も異動になるので、自部署内の雰囲気も一新されます。
互いのことをキチンと理解した上で仕事を進められるといった点では中小企業が有利ですが、長すぎる付き合いは時に面倒な事態を生むこともあるので、人間関係が面倒と感じる人は大企業がおすすめですね。
- 中小企業では阿吽の呼吸で仕事ができる場合もあるが、相手によってはストレスも
- 大企業では互いを知らことも度々あり、上司も定期的に変わる
生産技術が使える設備・道具:中小企業は大企業ほどそろってはいない
最後に道具です。生技の分野によって道具はさまざまですが、中小企業よりも大企業の方が必要なものはそろっています。
私が中小企業ににいた時は2000円以下のものであれば、自然と自分で購入して個人持ちをする雰囲気がありました。
当時は必要な出費と考えていましたが、今考えると会社が出してほしかったですね。
一方で大企業の時は入社後に何も言わずに道具を渡されたので、仕事で必要となる道具は会社が支給するという考えがあるようですね。
当然と言えば当然なのですが、当時はびっくりしました。
設備関連にしても大企業の方がメンテナンス基準がしっかりしていたり、定期的な老朽更新が行われているので、設備・道具関係については大企業に軍配が上がります。
まとめ:浅く広く仕事をしたいか、深く狭く仕事をしたいか
生産技術という職種において中小企業と大企業との違いは、浅く広い仕事か深く狭い仕事かに分けられます。
もちろん最初に言いましたが、個人的な経験に基づく偏見なので全ての企業にこのような傾向があるとは思っていませんが、ある程度は当てはまると思います。
仕事面以外も含めて中小企業と大企業を総合的に比較すると、どうしても給与体系や経営状況の差によって大企業が有利です。
転職活動で仕事内容に強いこだわりが無いようであれば、大企業を目指して転職してみるのをおすすめします。


