製造業でストレスが溜まりやすい職種の一つが生産技術ですが、仕事をしている時いつでも辛いというわけではありません。
私はあまり仕事が好きな方ではないのですが、それでも生技で良かったと思えたことがいくつかあります。
そこで今回は生産技術の仕事の中で得した・良かったと思ったメリットについて紹介していきます。
結論:仕事は嫌いだけど生産技術で良かったと思ったこと
私が今まで仕事をしてきて「生産技術で良かった」と思えた瞬間はこちら。
生産技術で良かったと思った瞬間
- 物事に対して背景や過程を考えるようになる
- 他の部署よりも確実に知識が広がる
- 外出機会が多いので気分転換になる
現場・現物・現実という言葉がある通り、実際のワークを見て悩んで仕事をすることが多いので自分のデスクを離れて行動する機会が多いです。
そのため他の部署よりも製品に関連する知識を身に着ける機会も多く、行動範囲が広かったりなど他の部署には無いメリットがあります。
生産技術を経験すると物事の背景や過程を考えるようになる

生技として働き始める前と後を考えると、仕事に関わらず物事に対して客観的に考えられるようになりました。
例えば、市場に出回っている製品に対して過程を考えることがあります。
あくまで自分が理解している分野についてですが、
「この構造はどうなっているんだ?」
「これはかなり苦労しただろうな…」
「このレベルで販売して良いのかよ…」
など、生技になるまでは考えたことも無かったことに気づけるようになります。
一種の職業病のように思えますが、結果(製品)に対して背景(過程)を考えるというのは確実に人間としても思考力が成長しますし、物事に対する視野が広がります。
また、生産技術として働くと「結果にたどり着くまで苦労することの大変さ」というのが痛いほど分かるようになるので、身の回りの問題や一方的に非難されている出来事を冷静に・客観的に見られるようになります。
耳障りの良い選挙マニフェストには達成するまでの現実的なプロセスが無いと信用できないですし、革新的な新技術には量産化するまでにどれだけの労力と時間が掛かるのだろう、とも思います。
生産技術という仕事を通じて得た考え方、というと大げさのようにも思いますが、少なくとも結果に対して実現する・実現した過程はどんなものか?という疑問を持つようになりました。
「結果にたどりつくまでの行動はとても大変で苦労するもの」という事実を体験して知っている以上、プライベートな時でも相手や物事を客観的に理解しようとする目線を自然と持てるようになります。
- 目の前の「結果」に対して「過程」を考えるようになる
- 「結果に至るまでにはかなりの苦労をする」ということを理解している
生産技術は仕事範囲が広いので他部署よりも知識が広がる

他部署の人間と比較して、生産技術は確実に豊富な知識を持てるようになります。
生産要件として形状変更をする必要があれば自分でPC上で3Dモデルを作成するので、3D-CADソフトの操作もできるようになります。外部メーカーに設備や治具を発注する時は簡易的な図面を自分で製作することになるので2Dソフトの操作も身に付きます。
PC上のモデルを編集するのは設計がメインになりそうな気がしますが、生産技術にも求められる能力であり、必要なことです。
また、生産する製品はできるだけシンプルな方が生産性は向上するので、無駄な機能や形状は省く必要があります。そのためには周辺部品や部品自体の機能も理解しておかなければいけません。
生産技術が設計側の領域の仕事を全て網羅しているとは全く思いませんが、設計が生産技術側の領域を網羅するよりも広い範囲で理解し、習得することができます。
他にも、設計側だけでなく品管側の知識も身に付きます。
製品形状によっては測定ツールが侵入できない場合もあるので、そんな図面ができる前に阻止する必要があります。時には自分で測定をすることもあるので特殊でない限りはある程度測定の方法も理解できます。
生産技術は他部署と比較して知っておかなければいけないことが多いので、個人としての能力は他の部署の担当者よりも高くなり、確実に自分の力になります。
また、発生する問題に対しても設計や品管は3Dモデル~実際のサンプルの間の工程を知らないので、「結果」に対して言及する立場上、製造プロセスを知らず、問題の本質を理解できません。
この点、生産技術は確実に他の部署よりも身につく知識は多く、能力は高くなります。
- 設計と品管の知識も身に付けることができる
- 「結果」から製造プロセスのどこに問題があるかを理解できる
生産技術は他部署よりも外出の機会が多い

先ほどまでのメリットとは少し趣旨が違いますが、生産技術は他部署よりも外出の機会が多いです。
そのため、常に上司や先輩がいる環境に身を置いているわけではないので、外出機会がほとんどない設計や品管と比較すると自由で閉塞感は少ないですね。
生産の立ち合いで他の工場や仕入先に行ったり、出張で遠方の設備メーカーや治具メーカーに行ったり、時には海外出張に行ったりなど、会社の敷地内でできない仕事も多いので会社の敷地外に出る機会が多いです。
設計者に聞くと外出する機会はまれで、チャンスがあれば仕事で外出したいとよく言っています。一方で生産技術1年目でも2年目でも一人で行動することは多々あり、行動範囲は比較的広いです。
毎日同じ場所に出勤して同じメンバーと顔を合わせて仕事をするのは閉塞的です。この点、適度に外出する機会があって気を紛らわせることができるのは生産技術ならではですね。
ある意味営業と似た一面を持っています。
まとめ:生産技術で良かったことはあるけど、もちろん辛いこともある
以上が私が生産技術として仕事をしている時にメリットに感じている内容です。
- 物事に対して背景や過程を考えるようになる
- 他の部署よりも確実に知識が広がる
- 外出機会が多いので気分転換になる
ストレスが多い仕事ですが自由に行動できる権限があり、他の部署よりも守備範囲は広く会社が違っても戦える力が身に付きます。
とはいえ、仕事でしんどいと感じることも正直多いです。生産技術のデメリットについては別記事にまとめているので以下の記事を参考にしてみてください。

「ホントは他職種に行きたかったけど生産技術に配属されてしまった…」という人は、生技の仕事をある程度理解した上で異動すれば他部署では貴重な戦力に慣れます。
